へんてこブログ

適当に書く予定

【節分】恵方巻き担当者仁義なき戦い

冬ってイベントごと多くて楽しいですよね。クリスマス、大晦日、お正月…20歳の人は成人式だってありますし…

当然、イベントが多い冬は小売業も繁忙期として日々数字を追いかけけて仕事をしている訳ですが、総菜担当者にとって一番の山場はどのイベントか分かりますか?まあ、題名からして察しくれる方が多いと思いますがもちろん「節分」です。スーパーの惣菜担当者に正社員が置かれる理由の9割がこの節分を乗り切るためだと言っても過言ではないです(偏見)そんな悲しい惣菜担当者の節分を乗り越えるための仁義なき戦いを振り返ってみましょう。

 

あ、この記事はなんのプロットもなくただ思いついたことを偏見まじりでつらつら書いてるだけなのであしからず…

 

  • もうすでに戦いは始まっている

節分って消費者からすれば、その日だけのイベントってだけでその日以外は特になにも意識はしないと思うが担当者はそうはいかない。もうすでに次の節分に向けてある程度考えています。

恵方巻きの製造・値付け・品出しなどの工程は全て人力、つまり人手がものを言う。この節分を終えた今日で担当者がまず考えていることは「今年製造の応援に来てくれた○○さんと××さんはかなり効率良く製造してくれたから来年はもっと量の多い商品を頼もう」まずこれ。

巷ではSDGsだの廃棄だの20年前はなかった文化だの言われているが、節分当日の担当者の頭の中はとにかく昼と夕方のピークの売り場に恵方巻き出し切りたいとしか考えていない。製造を任せた人が思っていたより手が遅ければ店出しも遅れてピークが過ぎた時に売場に出てしまう。そうすれば、値引きや廃棄に繋がって計画した売上がとれない。だから今年の状況を把握して来年の製造をもっと効率良くしようと考えている。もし節分終わりに惣菜担当者から「来年もよろしくね〜」って言われた他部門の応援者は来年は覚悟してね?(ほんとにお願いします)

ちなみに、2月3月で冬商戦がこんなにもヤバい仕事だったのかと戦慄する若手社員はこの時期に退職届出してる。たまに気が狂って社内規定を超える金髪にしたりどっかの山奥に逃亡して警察に保護されたり大型冷蔵庫内で放心状態になる人もいるとか(自分は実際に見たことはないけど)

  • 秋頃には計画しはじめる

夏が過ぎて肌寒くなってきたこの時期には本格的な恵方巻きに向けての計画がはじまる。この頃から担当者は気分が落ち込む。そらそうだよ、クリスマス年末年始が目の前に控えてるのにその先の節分について会議で話されるわけだもん。

ちなみに、異動で店舗が変わった時は大体この時期に前任者の反省書をパソコンのどっかのファイルからサルベージする必要がある。しっかりとした前任者だと定量的な事を踏まえて書いてくれてるけどたまに「今年はよく売れた(小並感)」みたいな反省書が出てきたりもする(絶望)

  • なんで自分だけが忙しいんだ?な1月

正月は休業しているスーパーもあるが中には営業しているスーパーもあるので一概には言えないが1月は正月除いたら基本売れる日はない。だから、多くの従業員は冬商戦の緊張が切れて笑顔が戻ってくるのだが惣菜担当者は逆に顔が真っ青になる。

1月にはもう発注と製造計画、作業場計画、資材・備品確認などとにかく臨戦態勢に入る。他の社員がお先に〜って退社したあとも黙々と準備をしている悲しい生き物が寿司作業場にいるのだ…

この時期はストレスも半端じゃないのでかなりピリピリしている。頭からツノ生えて鬼になってんじゃないかと自分でも思う時あるし、鬼なってたら喜んで外出て行って節分から逃れたい。早く俺に豆を撒けっ!

  • 節分前日

原料不足が見つかる。担当者は死ぬ。

  • 節分当日

当日はもう実行するしかないのでドーパミンドバドバ出しながら事にあたる。とにかく巻いて巻いて出して出しての繰り返し。

お客さま「この商品まだ出ませんか?」

担当者「うるせえ!今作ってるんじゃ。あとその商品なら予約しろや!(申し訳ございません。ただいま製造中でして、もうしばらくお待ちください)」

節分当日は当日に無茶なこと言う人が鬼に見えてくる。豆撒いたろか?

昼までの製造進捗を見て「あ、これ想定より巻けてるじゃん。いけるぞ」って思ってるけど、午後から製造者の疲れからか作業スピードが落ちて結局計画通りには進まないことが多い。

夜になれば異常な寿司の売上構成比見たあとに自分用に予約したよくわからん高単価の恵方巻きを持ち帰って節分を終える。

そして来年の節分に向けてまた戦いがはじまる

 

いや、ホントに恵方巻きはキツい。ぶっちゃけ現場サイドからしたらやりたくないイベントぶっちぎり1位だと思ってる。長期間の準備を経て、当日は奴隷のように仕事して後日には恵方巻き廃棄問題で叩かれて…と本当に福が無い。世の中の福が一定量しか存在し得ないものだとしたら恵方巻きに関わる担当者の福が売られてる気がしてならない。とにかく疲れるイベントな訳なんですよ。

じゃあ、恵方巻きなんて辞めれば?って思われそうだけど、そうはいかない。まず、恵方巻きはかなり売上に貢献してくれる重大イベントだからです。2月は基本28日しかなくて他の月と比べると2〜3日ほど少ない。小売業にとっては営業日数が売上に影響しているので2月は基本売上は少なくなる。しかし、節分というイベントでこの2〜3日分を全てではないにしろカバーはできる。もっと言えば大手小売業の決算月は2月が多い。ラストスパートをかけるにもこのイベントは辞められない。(バレンタインデーにも力入れる理由大半これじゃない?)

廃棄の象徴恵方巻きはやめろ!問題ですが、こんなにも準備してきたのに廃棄で終われせて納得する担当者はいないでしょ。廃棄ロスはコンビニは分からないけどスーパーはそのままロスに直結するので廃棄はない方が良いに決まってる。1円でも多くお金に変えたい。それでも廃棄が大量に出ている店舗があるとすればそれは担当者の計画がかなり甘いと言わざるを得ない。反省しましょう。

20年前にはないイベントだの言われるが、それでもなお恵方巻きが売れるのは需要があるから。特にコロナ禍での内食需要の大きさはよくわかっているはず。恵方巻きは子どもから高齢者まで楽しめるように多くの種類や量を設定する小売店が多い。夕方の献立考えなくてもよいのは主婦にとっても助かるイベントでもあるわけで…

だからこそ、恵方巻きはここまで成長してきたと思っているが同時に食品ロスについても浮き彫りになってきたのは事実。でも、食品ロスを考えるのであれば正確に把握していかないといけないと私はそう思っています。

news.yahoo.co.jp

ここ数年は食品ロス問題のジャーナリストが恵方巻きを中心に食品ロスについて記事をよく出してます。概ね、記事内容には異論はありませんし、こうして業界外部からの指摘を受けてもらえるのも良いでしょう。しかし、正確に食品ロスを把握するには細かい部分で修正してもらいたいところもある。

2019年に、大手スーパー営業部長に取材した際「例年だと、恵方巻の廃棄率は20%から30%くらい。他の惣菜に比べて、特に多いわけではない。

例年の恵方巻きの廃棄率は20~30%とこの記事には出ているが、これは本当なのだろうか?確かにこの大手スーパーの例年の廃棄率がこのくらいある可能性もあるが、その後の他の惣菜に比べて特に多いわけではないと言う部分がどうも引っかかる。

www.j-sosm.jp

こちらのサイトには2019年のスーパーマーケット年次統計調査報告書のデータを元にした商品カテゴリー別のロス率が載っている。このロス率というのは廃棄もそうだが、値引きも含まれるもので、惣菜は平均10.1%のロス率となっている。調査期間は6月〜8月なのでここに恵方巻きは含まれていないが、大体年間通してもロス率はこの程度ではある。

これと比べると廃棄率20〜30%が普通とは到底思えない。10本作って8本売れて2本廃棄で廃棄率25%と考えると、1,500本製造した店舗は375本廃棄したことになる。これはあまりにも多すぎる。おそらくだが、これは廃棄率ではなくてロス率と勘違いしている可能性はある。ちなみに意外と思われそうだが、節分は平日より土日の方が需要は少ない。2018年と2019年は土曜と日曜が節分に当たるので平日の節分と比べるとロス率は高くなる。平日の場合、夕方のピークは20時などかなり遅い時間まであるのに対して、土日は夕方のピークが短く、どちらかと言えばお昼に買い物する客が多い。恵方巻きの午前までの製造数は正直しれているレベルなので土日の場合はどうしてもピークに合わせて供給が追いついていないところが多い。これがロスにつながっている。次に土日に節分がくるのが2024年の土曜日。ここが焦点になると私は思っている。

小売業者は2024年に廃棄を多くだせば確実に炎上する。絶対する。だから、今のうちに売上もとって尚且つ廃棄を含めたロス率を減らすなにかしらの方法を考えなければならない。案としては、具材のキット化(冷凍芯化)、長持ちする原料を多くして計画より下回った売上になる場合に後日別商品の原料として使う、販売期限を長くするなどできるうちに手を打ってもらいたい。くれぐれも担当者の出勤時間をクッソ早くして昼のピークに間に合わせるだけで終わらせないでほしい。そのときは本社に豆撒きに行きます。