へんてこブログ

適当に書く予定

ヨーカドー行ってきました。めっちゃ詳しく書いてます。(大嘘)

ヨーカドーを訪ねて三千里

生まれも育ちも三重県の私、へんてこにとって「イトーヨーカドー」というのはテレビやネットでしか見たことのない総合スーパーという印象なのだ。X(旧Twitter)でどれだけヨーカドーについて話しても行ったことがなければなんの説得力もない。ということで、行ってきました。イトーヨーカドー知多店。

イトーヨーカドー知多店とセブンイレブン知多新知店の看板

ちなみにこの写真をカメラで撮ってたらガードマンに「何撮ってるんですか?店内撮影はやめてね」と釘を刺されました。大丈夫です、店内はカメラで撮ってませんので。

 

よくあるいたって普通の総合スーパー

普通のスーパーだなぁという印象だった。別にこれは悪い意味は全くない。確かに、今までヨーカドーを利用したこのない自分にとってコンビニでしか見たことのないPB「セブンプレミアム」がたくさんあって驚いたがいたって普通のスーパーだった。普通のスーパーなので普段使いがしやすい。つまり常連客も多いことだろう。実際、平日昼に見に行ったが店内は結構な客で賑わっていた。

マーチャンダイズもしっかりとしていた。チラシ?なのか大相撲春場所とタイアップした売場展開でどの部門も大相撲のPOPを全面にだして店全体でまとまった展開もできていたのでやはりしっかりとしている。こういうのでいいんだよ、こういうので。(謎の上から目線)

イトーヨーカドー知多店

 

地方を中心に撤退するヨーカドー

とは言え、ヨーカドーは東北・北海道からは完全撤退することになる。店舗後継としては普通のスーパーとは180度いや540度ちがうロピアが入居するなど一時期話題となった。今のところ、愛知県の店舗を含む東海地方3店舗の撤退は発表されていないが一体どうなることか。

まあその辺の話は

「大量閉店」イトーヨーカ堂の運命を握る店の正体 時代の流れには勝てなかった総合スーパーの転機 | 百貨店・量販店・総合スーパー | 東洋経済オンライン

ここで詳しく書かれているのでこのブログでは何も言いません。とは言え、かつて日本のいたる場所に出店していたナショナルチェーンがリージョナルチェーン、もし本当に首都圏でのみ継続となればローカルチェーンへと縮小することになる。

厳しい環境におかれているスーパーだが、実は4年連続で市場自体は伸びていることはご存知だろうか?コロナ禍でスーパーが見直されたりしたということもあるだろうが、大きな要因としては値上げによる市場拡大だ。無論、人件費や原価も上昇しているため決して利益が出る値上げというわけではない。

しかし、そんな厳しい環境のスーパーよりもさらに厳しい店舗運営型の市場があることをご存知だろうか?2021年の市場規模が14.6兆円で、9年連続市場規模縮小、5年前の規模に比べて約7〜8兆円も市場規模を落としたスーパーみたいな必需品を売っているわけではなくぶっちゃけ存在しなくても生きていく分には全く問題のない市場を・・・

スーパーとたいして変わらない市場規模のパチンコホール市場

2023年のスーパーの市場規模は日本チェーンストア協会の調べによると約13.5兆円。遊技産業レポート2023によると2021年のパチンコホールの市場規模が14.6兆円。実はパチンコホール市場というのは娯楽市場で必ずしもみんなが必要とする市場ではないがその規模はスーパーとほぼ同じで無視することはできない。正直、このブログを読んでいる商業オタクの皆さまはそんなギャンブルなんてやったことねーよという人が多そう(偏見)だが、ここからはパチンコホールの話をする。ヨーカドーの話?知多店だけしか行ってない僕に語ることなんてやっぱできないぞ!

 

パチンコ業界の2トップ

小売業においてイオンとセブン&アイは業界の2トップであることは明白であるが、このパチンコ業界でも2トップが存在する。それがマルハンダイナムだ。

ダイナム志摩北店(ハワイグループチェーリー店の譲渡店舗)

マルハンは2022年度の売上高が1兆3,196億円と売上トップ。たいしてダイナムは貸玉収入(売上)は5,078億円とマルハンの半分くらいであるが、店舗数は2023年9月時点で434店舗(マルハンは310店舗)と業界トップの数を擁している。2022年度のパチンコホール市場規模は公表されてはいないが、仮に2021年とほぼ同じ規模であるとするとこの2企業でシェア12%ほどを占めることになる。店舗数でいえば3番手にアンダーツリーグループが151店舗、次いでガイアが94店舗と考えるとこの2トップが突出していることがよくわかる。

パチンコ転職知識─ホール店舗数&売上高【2023年版】 | CHANCE UP -チャンスアップ パチンコ業界特化の転職・求人サイト

 

チェーンストア理論武装をするダイナム

個人的に気になるのは、自社のホームページにチェーンストア理論を応用して展開していると載せているダイナムだ。

https://www.dynam.jp/corp/about/chainstore.html

チェーンストア理論といえばスーパーやドラッグストア、コンビニ、飲食店を想像してしまうが、多店舗運営とローコストオペレーションをこなす必要があるダイナムにとってはこのチェーンストア理論は必要だったと言える。

現在はダイナムホールディングスの相談役にいる佐藤氏は家業のパチンコホールを引き継ぐ前にはダイエーに就職しておりそこでチェーンストア理論と出会っている。下記の新聞記事によると日本リテイリングセンター(ペガサスクラブ)というチェーンストア理論の提唱者、渥美俊一先生によるアメリカでのセミナーに200人近い社員を送り込んだようだ。

これでいいのか辛口!チェーンストアにもの申す(25)パチンコ業界で - 日本食糧新聞電子版

ちなみに、この新聞記事では、パチンコホールにおいてチェーンストア理論はオワコンでそれを信奉しているダイナムはダメだという感じの記事である。さらに、パチンコホールコンサルティング会社グローバルアミューズメントも2016年にホール業界のチェーンストア理論は間違っているとユニクロと比較して批判している。

http://global-am.co.jp/PDF/20160606COMPASS15

しかし、結果はどうであろうか。低貸し中心で利益がだし辛いダイナムではあるが現在でも店舗数では依然として業界トップでありしっかりと利益を出している。チェーンストア理論による結果を出していると言えるのではないだろうか。

実際、かつて3強の一角と言われていたガイアは昨年不渡りを出しついに10月末に民事再生法を適用を申請し事実上倒産している。業界ではお騒がせが多い同社であるが、倒産の主原因は店舗や土地を証券化しそのお金で新たな店舗を出すという自転車操業状態で、それどこのマイカルだよってツッコミを入れざるを得なかった。チェーンストア理論では、不動産分配率のマネジメントは重要でありここのミスは倒産に直結するとされている。

その点、ダイナムは出店戦略を人口3~5万人の郊外出店と撤退時を考えての簡素な店舗作りを標準店舗として展開している。実にチェーンストア理論に忠実に運営していることが伺える。

ダイナム御薗店(伊勢市)木造建築のダイナム標準店舗

なぜか偶然存在する特殊景品の換金所も木造だ

天井もコストカットで剥き出し

先ほどのグローバルアミューズメントは2025年には低貸しチェーンストア理論店は破綻し全部潰れるのではないかという予想を立てているが、これは半分当たって半分外したのではないであろうか。

パチンコについて詳しくない商業オタクに説明すると、パチンコ、パチスロ(俗にいうスロット)には低貨しと高貸しに分けることができる。法律上、パチンコは最大1玉4円で貸すことができて、パチスロは最大1枚20円で貸すことができる。低貸しの場合パチンコだと1円や0.5円、パチスロだと5円などがある。ダイナムは他のパチンコホールに比べてこの低貸しを中心に運営している。

さて、なぜ半分当たって半分外したのか。まず、低貸しというのは利益が出し辛いことにある。ダイナムには高貸し店舗の「ダイナム」と低貸し店舗の「ダイナムゆったり館」「ダイナム信頼の森」があるが、店舗営業利益は高貸し店舗の利益率が2013年度で16.9%に対して低貸し店舗の利益率はたったの4%だ。(まあ、どっちも食品スーパーの平均的な営業利益率より高そうではある)

スーパーと違ってパチンコホールというのは法律での縛りがキツく、年々射幸性の抑制が厳しいことになり当たっても以前より出玉が少なくなっている。出玉が少ないと一見ホール側としては利益が高くなる(景品交換が少なくなるので)が当然出玉が少ないのならパチンコ人口は減っていく。さらに筐体の価格が年々高くなっているのでトータルで考えるとホール側は利益が取りづらくなっているのが現状だ。

だから、くそ高え筐体を買って1玉1円で遊べますよなんてしていたら全然費用回収が間に合わないのである。最近ではスロットのメダルを電子化したスマートスロット(通称スマスロ)やスマパチが登場してきてさらに価格が上昇している。(パチンコですらキャッシュレス時代!)当然、体力のない低貸し運営のパチンコホールは設備更新ができずに淘汰されていく。

ダイナムもその影響は当然うけているので、スマスロなどが登場する前の2014年には低貸し店舗の利益率は0.4%までに落ち込んでいる。しかし、これは攻めた投資による低利益だ。低貸し店舗の改装により費用が大きくなったが、その分利用客を増加させることで店舗運営を維持しようとしたのだ。利用客の増加、つまりは同業他社から客を奪ったと言える。業界の環境悪化による淘汰はあるが中にはダイナムに客を取られて業績を悪化させたホール会社ももしかしたら存在しているかもしれない。もちろんこんなパワープレイができたのは利益が低いとはいえ多店舗運営してそれをローコストオペレーションで運営し続けたダイナムだからこそできたことなのだ。半分当たって半分外したというのは、ただの低貸し店舗は環境によって淘汰されていくが、ダイナムはそれに耐え切れるほどの体力を持っていたということだ。つまりチェーンストア理論しか勝たん!

https://www.fisco.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/dynamjapanholding20150623.pdf

他社と比べるとあまりにも質素な景品棚

プライスカード?にはJANコードもあるこれで発注や棚卸しでもするのだろうか?

 


店舗で見かけた意外なチェーンストア理論要素

他にもチェーンストア理論要素があるのか。個人的に一番驚いたのはパチンコ機械のPB機の存在だ。PBとはもちろんプライベートブランドのことだ。イオンで言えばトップバリュセブン&アイでいうセブンプレミアムのあのPBだ。

ダイナムのPBは「ごらく」という名前で展開している。しかも調べてわかったのはこのPB、2006年から展開しているのだ。パチンコにおいてのPBというのはメーカーの協力によってホール側が演出とスペックを企画しメーカーが製造するものだ。(まんまスーパーのPBと変わらない)ただ、全部がオリジナルというわけではない。メーカーが販売しているパチンコ機の演出とスペックをダイナムが企画しているのでおそらくぱっと見はメーカーの筐体(NBと言っていいのだろうか?)と変わらないのであろう。

 

PB機を持つ意味とは

PB機を企画できるというのは、やはり影響力が大きくないとできない。メーカーに交渉できるというのはやはり多く店舗を運営できているというダイナムならではのことだ。ただ、マルハンダイナムと共同でPB機開発を行っているのでダイナムだけがPB機を扱っているというわけではない。が、ダイナムマルハンもやはり売上や店舗数が大きいからこそ可能にしたことだろう。

ダイナムのPB機「ごらく」

店舗譲渡店という訳ありではあるがダイナム志摩北店ではこのPB機を15台ほど設置してある。この店舗はパチンコ台が347台あるので、PB比率としては低いのかもしれないが、メーカーと交渉できる手段を持っているという点で他社を大きくリードしているのではないだろうか。

また、このPB機の稼働率も高いように見えた。三重県志摩市にはもともとダイナムはなかったが今年2月下旬に2店舗をダイナムに譲渡され同市に初めてPB機が設置されたはずだが、いつ見ても半分以上が稼働している繁盛ぶりだった。

射幸性の抑制から魅力のある台というのは少なくなる中で、PB機というのは他のホールでは絶対に存在しない筐体であるのでダイナムに行くという動機にもなる。

PB機の発注もおそらく低貸し店舗を中心に大量に発注していると思われるのでもちろん価格交渉で通常の台よりも安価に購入している可能性も高い。昨今の高価格台もPB機導入で購入費用を抑えることだって可能ということか。

 

ナショナルチェーン店

ダイナムはスーパーよりも厳しいパチンコホールという業態であるにもかかわらずチェーンストア理論によって全国的に店舗を展開できている。それでいて利益も出せている。ダイナムがスーパーの視察で知識を得て自社に応用して展開していったように、スーパーもこのダイナムから学ぶことができるのではないか?へんてこははじめてスマスロにお金を突っ込み遊技しながらそう思った。(金返せダイナム!)

 

そういやお前、店内の写真多いけど大丈夫なのかと思われているかもしれないが心配無用だ。

店内撮影禁止なんてどこにも書いてなかったぞ!()